先般、地域共生社会推進検討会の最終とりまとめが公表されたところであるが、地域共生社会の包括的な支援体制の構築に向けて、「断らない相談支援」、「参加支援」、「地域づくりに向けた支援」の3つの支援を一体的に実施してゆく方向性が打ち出されている。なかでも、地域づくりに向けた支援については、地域づくりのコーディネート機能の重要性がうたわれているところである。
これまで、この機能を担ってきた者として、生活支援コーディネーターや、コミュニティソーシャルワーカー、地域によっては、集落支援員や地域おこし協力隊など、福祉分野にとどまらない支援者も挙げられるであろう。また、被災地では、生活支援相談員等の支援員が個別支援や見守りのみならず、コミュニティ支援も行ってきた例も多く見受けられる。もともと、地域づくりは福祉に限定されたものではないために、多様な担い手が存在する一方、同じような活動を行っているにも関わらず、共通の基盤もなく、相互の関わり合いも少なかったと言える。
今後の、地域づくりに向けた支援への人員の配置は、各市町村で検討されていくことになるが、その基盤となる地域づくりに関わるコーディネーター養成のための研修プログラムの開発は急務と考えられる。
そこで、現在地域づくりの支援に関わっている各種コーディネーターの養成研修等の資料を収集、地域支援に携わるコーディネーターに必要な基盤となるべき事項を抽出し、研修プログラム、及びテキストを作成する。地域における課題を抱える人への支援の視点を意識しながらも、高齢や障害、児童といった福祉分野の壁に捉われない分野横断的なものを想定する。
また、地域共生社会の、「支える」「支えられる」関係性の解消の理念から、研修想定対象者を福祉専門職に限定せず、地域住民でも理解可能なものとするよう配慮する。これは、従来から地域支援に関わってきた専門職に対しては、学びなおしの機会ともなり得ること、少子高齢化がすすみ、人材の少ない地方にとっては、担い手候補を広げることができるメリットもある。
加えて、令和2年度補正予算の「新しいつながり事業」で施策化されたつながり推進員の研修等にも活用可能なよう、配慮する。
作成したテキストは、全国市町村に送付し、地域づくりの支援に関わる人材育成の一助とする。 |